ろぎおについて
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都営新宿線のプラレール

 

1986年、僕の住んでいた町に地下鉄の駅ができた。

 

都営新宿線という路線が延線して開通したのだ。

 

それまで親父は最寄りのバス停まで15分歩き、バスと電車を乗り継いで仕事に行っていた。子供の頃に1度だけ職場に連れて行ってもらったことがあるが、結構な旅だった。

 

それが徒歩5分のところに駅ができたのだ。

 

これはもう革命といってもよかった。

 

親父がすごく楽になったと喜んでいたのを、今でもよく覚えている。

 

 

僕はまだ電車を日常生活で利用する年齢ではなかったけど、お出かけの時にたまに乗る地下鉄というものに興奮した。

 

僕のなかの「電車」はずっと総武線の黄色だったが、この時をさかいに都営新宿線の銀色にグリーンのラインのものになった。

 

中学生になって塾通いをし始めたころから、定期的に都営新宿線を利用するようになり、高校生以降は通学・通勤の足となった。

 

そして何度かの引っ越しを経た今でも、僕は都営新宿線を利用しつづけている。

 

 

 

僕には息子が一人いる。

 

男の子がまず興味をもつ乗り物のおもちゃというのは、車か電車なのではないだろうか。飛行機や船という子がいたら、きっとお父さんがパイロットかキャプテンなんだと思う。

 

ちなみにわが子は電車だった。

 

子どもの電車のおもちゃといえば、プラレールである。

 

プラレールは、玩具メーカーのタカラトミーが、車のトミカとともに主力と位置付けている看板シリーズだ。実際の電車をベースにデザインされた基本3両編成の車両が、電動モーターを動力としてレールの上を疾走する姿に、子どもたちは狂喜乱舞する。

 

息子は東北新幹線が大のお気に入りで、なかでも秋田新幹線「こまち」の大ファンだった。もちろん特急や在来線もたくさん買った。プラレール博にも何度も足を運んだし、実際の車両を見にいろいろなところにも行った。

 

そしてその間ずっと、僕は都営新宿線の車両を探していた。

 

せっかくわが子がプラレールに興味を持ったのだから、自分が子供のころから乗っている都営新宿線があるのなら、ぜひとも手に入れたいと思っていた。

 

しかし、残念なことに都営新宿線は通常のラインナップになかった。

 

何度かネットで検索してみたことがあるが、過去に商品化はされていないようで、画像が出てくるのは改造車両ばかりだった。

 

 

 

 

2020年、僕の住んでいる町の駅に広告が貼りだされた。

 

 

 

こ、これは!

 

長年探し続けていた都営新宿線のプラレール!!

 

都営交通の公式サイトを調べると、売り切れ次第、販売終了とある。

 

このチャンスを逃すわけにはいかない。

 

結構な年齢になっているものの、たまにプラレールで遊んでいる息子と連れ立って、僕は都営新宿線の馬喰横山駅に向かった。

 

 

ひひーん。

 

お、おう。

 

突如現れた馬にちょっとひるんだ。

 

馬喰横山駅は、馬喰町と横山町という由緒ある二つの町名から名付けられた駅だ。都営浅草線の乗換駅でもあり、浅草橋で働いていた親父が通勤でずっと利用していた駅でもある。

 

駅の改札を出て、左にしばらく歩いていくと、駅務室が見えてきた。

 

 

こ、ここか。

 

積年の想いがこみ上げてくる。

ついに手に入るのだ。

都営新宿線のプラレールが。

 

重厚なドア(僕の気分的に)を開け、中に入ると、駅員さんがにこやかに話しかけてきた。

 

ここで事前に吹き込んでおいた通り、息子が駅員さんにオーダーを伝える。

 

 

「都営新宿線のプラレールをください」

 

「はいはい、一つでいいかな?」

 

 

いい…のか?

 

二つ買うべきか、一瞬迷った。

 

開封してしまったら

息子が遊ぶに決まっている。

 

コレクターは保管用を買うものだ。

 

僕はコレクターというわけではないが、

以前からこの車両を探し求めていた。

 

1986年の最寄り駅の開通から

すでに34年の歳月が流れている。

 

この機会を逃したら、

もう手に入らないかもしれないのだ。

 

どうする?

どうする??

どうする???

 

という0.8秒ぐらいの逡巡のあと

 

 

「はい、ひとつで」

 

 

僕はそう答えたのだった。

 

 

 

帰宅。

 

この状態のトートバッグを肩にかけて帰ってきた。

 

電車の中で息子がプラレールを楽しそうに見るのを横目に、内心は僕の方がついに念願の車両を手に入れた高揚感に包まれていたように思う。

 

たくさんの都営線グッズたち。

 

駅員さんはニコニコしながら、車両以外にもたくさんのオマケをつけてくれた。電車が好きな人には、どれもウキウキするようなノベルティだ。マスクケースというのが、いかにも今らしい。

 

 

さて、

 

 

いよいよ、

 

 

開封するか。。。

 

 

こいつを。

 

 

都営新宿線10-300形(4次車)

 

 

ついに手に入れたぞぉぉぉー--!!

 

 

 

2015年5月に運行開始と、比較的新しい車両だ。

 

 

 

ああああ、感無量。

 

 

物心ついたときから、

僕の人生と共にあった都営新宿線。

 

そのプラレール車両が、いま目の前にある。

 

 

その雄姿をしばらく眺めていると、息子が声をかけてきた。

 

 

「電池を入れて走らせていい?」

 

「もちろんだ」

 

 

シャーーーッと音をたてながら、軽快にレールの上を都営新宿線が周回している。

 

ブルーの楕円の上を走る姿を眺めながら

 

 

「やっぱり2両買えばよかったな」

 

 

と思った。

 

 

 

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