ろぎおについて

ブロガーの値打ち

ブログのおはなし
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ビジネス本というジャンルがあります。

 

生きていくうえで知っておくといい知恵や教訓、仕事に役立つことを目的とした技術論、今の世の中をある視点から語った解説本など、著者の知識と経験に裏付けられた内容をきちんと理解して活用すれば、大きな成果を手に入れることができる本です。

 

一方で、ビジネス本は読んだ瞬間に知識欲を満たしてくれるので中毒性があります。読むだけで満足してしまい、実践をともなわずに次から次に手を出してしまう人も少なくないようです。

 

そのため、じっくり考えたり味わったりする文章を好む人が、ビジネス本のことを「読んですぐに役に立つ本」と言う場合、「頭を使わずに読める本」という冷笑的な意味が含まれている可能性があることを知っておいた方がいいでしょう。

 

そんなビジネス本ですが、現在の出版界では、かなり幅をきかせている存在です。本屋に行けば、ビジネス本の平積みが入り口付近の1丁目1番地にどーんと展開され、多くの人が手に取っている光景を目にすることができます。文芸書にくらべて何万部、何十万部と売れているものが異常に多いことからも、その人気のほどがうかがえます。

 

どうしてビジネス本はそんなに売れているのでしょうか。

 

先日、図書館に行って『ビジネス本作家の値打ち』なる本を手に取りました。本書はビジネス本のベストセラー作家約40人の著作232点を独断と偏見で評価したビジネス本です。2010年出版の本なので、作家のラインナップに少々古臭さを感じて本文は読んでいませんが、「まえがき」と「コラム」に興味深いことが書いてありました。

 

著者の水野俊哉氏によると、ヒットするビジネス書には、おおまかにいって次の3つの特徴があるそうです。

 

・売れるフォーマットに沿っている

・売るための努力をしている

・無名でも有名になれる可能性がある

 

「売れるビジネス本」の条件とは、まず「商品としてしっかり作り込まれていること」が挙げられるだろう。知恵を絞ったタイトル、オシャレな装丁、1ページ当たりの文字数が少なく、太字やまとめを多用した、理解しやすいレイアウト、脚注の挿入や口絵の写真などなど、売れるビジネス本には共通したパターンがあるのだ。

 

ビジネス本の世界において特徴的なのは、書店営業など「売る努力」の凄さである。(中略)今や「いい本でも売れなければ意味がない」は業界の共通認識だ。

 

今や何の実績がない人物でも、USPさえできていれば、本を出せる確率が高くなっている。さもスゴイ著者であるかのように謳いあげて本を売ろうという、いわば出版社と作家がグルになった自作自演である。 ※USP…Unique Selling Proposition の略。「独自の強み」のこと

 

かつてのビジネス本は、とてつもない実績を作った経営者や国民的な経済評論家が書くものでした。それが2000年あたりから、それまで世間的には無名だった人の書いたものがベストセラーになるという現象が起きてきました。

 

ビジネス本をよくお読みになる方は、神田昌典氏、勝間和代氏、本田直之氏といった名前を見たことがあるのではないでしょうか。いずれの著者も松下幸之助、本田宗一郎、稲森和夫といった大経営者と違い、本が売れて有名になった人たちです。

 

この傾向は2003年頃から加速し、出版社が売れる本を出したい事情もあいまって、多くのビジネス本作家が誕生しました。さまざまな知見が世に出やすくなることは喜ばしいことである一方で、ビジネス本が粗製乱造される状況が生まれてしまいました。水野氏はこれを憂い、警鐘を鳴らす意味で『ビジネス本作家の値打ち』を書いたと言います。初版が出てから10年経ちますが、今もあまり状況は変わっていないように思えます。

 

そんなビジネス本バブルのあらましを読んで、この状態が何かとよく似ていると思いました。

 

そう、ブログです。

 

アクセスやPVが多いブログにも、同じような特徴をもつものがあるなと。

 

・読まれるフォーマットに沿っている

・読まれる努力をしている

・無名でも有名になれる可能性がある

 

さきほどの引用をもう一度見てみましょう。

 

「売れるビジネス本」の条件とは、まず「商品としてしっかり作り込まれていること」が挙げられるだろう。知恵を絞ったタイトル、オシャレな装丁、1ページ当たりの文字数が少なく、太字やまとめを多用した、理解しやすいレイアウト、脚注の挿入や口絵の写真などなど、売れるビジネス本には共通したパターンがあるのだ。

 

太字の部分は少し読み替えれば、ブログにも当てはまります。

 

そして文章は、読みやすく、やさしく、わかりやすく書く。頭を使わずに読めるように書く。文体も硬い文章よりも柔らかい文章。文語調よりも口語調。吹き出しを使って会話形式にするなど工夫を凝らし、あの手この手で読みやすさを追求する。

 

そうして読みやすくした文章を、1人でも多くの人に読んでもらえるように、SNSでの拡散などを通じて営業をします。ブログ内では記事リンクを張って「あわせてよみたい」とおすすめします。

 

するとどうなるか?

たくさん読まれます。

 

そうして得られたアクセスやPVといった実績をSNSで拡散すると、さらなるアクセスがあつまります。これを繰り返すことで、有名になることができるというわけです。

 

一方でビジネス本と同じく、粗製乱造も起こります。誰かと似たようなブログ、既視感のあるブログが量産される。必勝法のようなものがブログで拡散され、それに倣って文字を連ねたものが次から次へと生まれていく。

 

本当、そっくりだなと思います。

 

つまり、発行部数、売上、アクセス数、PVといった数字を増やしたかったら、王道というのが確かに存在しているのですね。効率よく結果を出したければ、そこに沿うようにやっていけばいいのです。

 

ただ、ぼくは天邪鬼なので、それじゃ面白くないなと思うのです。

 

まだこれといった確たるものが定まっているわけではないし、目指す旗もはっきりとは見えていませんが、王道から外れた非効率なやりかたを模索しています。

 

自分なりの答えを探しながら書くのが楽しいし、それでうまくいったなら、きっと何倍もうれしい。

 

結局、そこにかけてやっていくのが自分の性分なのだなと、『ビジネス本作家の値打ち』の「まえがき」と「コラム」を読んで考えたのでした。

 

 

 

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