朝起きて、まず息子に聞いた。
「詩、覚えてるか?」
息子はすらすらと暗唱した。
このあかるさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐えかねて
琴はしづかに鳴りいだすだらう
八木重吉の「素朴な琴」という詩である。
昨夜、仕事から帰ったら、息子が唸っていた。
「あー、覚えらんねー」
先の詩を暗唱できるようにするのが宿題なのだそうだ。
暗記の様子をうかがっていると、どうやら文字の羅列を意味もなく覚えようとしているようだった。
そこでいったん暗記をやめさせ、となりに息子を座らせた。
そして、意味がわからない言葉をひとつひとつ辞書でひかせたり、ぼくが例文を使って説明したりした。
「素朴」「琴」「耐えかねる」
特に琴は、どんな楽器か、どんな音色かをぼくのスマホで調べさせて、写真や動画を視聴した。
言葉の意味がわかったところで、こんどは詩がどんな情景を描いているのかを一緒に考えた。
「このあかるさ」って何だろう?
「秋の美しさ」って何だろう?
「鳴りだす」ではなく「鳴りいだす」となっているのはどうしてだろう?
息子の中に詩の情景が広がったところで暗唱をさせてみた。
1回目は2か所、2回目は1か所、つっかえた。
3回目で暗唱できた。
それから15分おきくらいに何度か確認した。
しっかり覚えているようだった。
そして、今朝のふいうち。
もう間違わなかった。
今日、仕事から帰ってきて、息子に聞いた。
「暗唱、どうだった?」
「できたよ」
得意げに暗唱する息子をみて、少しは役に立てたかなと思った。
■今日のとくとく
息子が詩の暗唱をできたこと
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