仕事が終わってTwitterを見たら、懐かしいツイートがタイムラインに流れていた。
「いま月の右上に、木星が見えるよー」
去年の6月、ぼくの職場は池袋だった。
その日は同僚との食事会。
店を早番であがったぼくは、遅番がやってくるまでの間、池袋の街をうろうろして時間をつぶしていた。
そろそろ、食事会の会場に向かおうかというところで、あるツイートに目が留まった。
みんなー!ちょっと早いけど、もう星が綺麗に見えるよー!!
月のすぐ下に光ってる明るい星が、木星だよー!!
これから星座探しに行くけど見えるかな?
なになに?木星が見える?
目的地に向かいながら目じるしとなる月を探すけど、池袋の空にはどこにも見当たらない。
「あったー!」
「見えたよ!」
「すごい!はじめて見た!」
ツイ主のフォロワーが、続々と画像をあげていた。
が、ついにぼくは見つけることができないまま、会場に着いてしまった。
仕方がないので、池袋の街を写真に撮って「残念。。」とリプをした。
2時間ほどの宴の後、ほろ酔いで店を出た。
ふと、空を見上げると
なんと月が顔を出していた!
となりには木星もいる!!
おおぉぉぉっ!!!
いてもたってもいられず、カメラでパシャ!
高揚した気持ちをツイートした。
あれから約1年。
ひさしぶりに見たツイートを懐かしく思いながら、家に帰り着いた。
そうだ、カメラで撮ってみよう。
そう思い立って、いそいそとセッティング。
家族は何が始まったのかと、不思議そうな顔をしている。
光学30倍ズーム、デジタルズームにすれば60倍というコンデジで、三脚を立ててシャッターをきる。
ノーマル設定だと、月が明るすぎて、たんなる光の玉にしか見えない。
そこで可能な限り暗くして撮ってみる。
月が顔を見せた。
「すごッ!」
息子が興奮した面持ちでカメラの画面をのぞき込んでいる。
月の右上には木星も見えるが、こちらは光の点のまま。
「木星は遠いんだなあ」
そう思った。
「木星って太陽系のなかで一番大きいんだってよ」
「木星の中に地球は1400個も入っちゃうんだって」
「あの模様はアンモニアの雲の帯って知ってた?」
奧さんは木星について調べたことを教えてくれ、娘は三脚の足を延ばしたり縮めたりして遊んでいる。
木星きっかけの、家族の時間がそこにあった。
月や天の川やめずらしい彗星がニュースになることはあるけれど、木星がきれいに見えますというニュースはあんまり聞かない。
もしかしたら天体観測の愛好家の間ではベタな話なのかもしれないが、日頃から星に興味があるわけでもなければ、わざわざ木星を観ようと思う人は少ないだろう。
それがたまたまタイムラインに流れてくるツイートをキャッチして、何人もの人が同じ空を見上げて木星を探す。
べつに世の中的にはニュースになっているわけでもない。
ただ夜空を見上げて、それに気づいた人が「見えるよ」とつぶやき、「見えるね」と応える。
木星の呼応。
これって、すごく素敵なことだよなと思う。
ぼくはまた忘れたころに
「木星が見えるよー」
というツイートが流れることを
心から待ち望んでいる。
■今日のとくとく
木星を見たこと
いま月の右上に、木星が見えるよー👀✨
— マチ子・ジパング (@midomidoxxxx) August 29, 2020
みんなー!ちょっと早いけど、もう星が綺麗に見えるよー!!
月のすぐ下に光ってる明るい星が、木星だよー!!
これから星座探しに行くけど見えるかな? pic.twitter.com/1rV96YZark— マチ子・ジパング (@midomidoxxxx) June 16, 2019
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