ろぎおについて

娘の運動会

とくとく日記
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ある日、娘を保育園に送って行ったら、先生が目を輝かせて言った。

 

「歩けたんです!」

 

竹馬のことだった。

 

どれくらい歩けるのかと思い、娘にやって見せてと言ったら、わずか数センチの高さの足場に左右それぞれの足を乗せて、1歩だけ進んだ。正直、歩けたと言えるかは微妙だ。でも今思えば、この小さな1歩が、とても大きな1歩だった。

 

別のある日、娘の手の皮がむけているのに気付いた。これどうしたの?と聞くと、竹馬の練習で皮がむけたのだそうだ。「ほぅ、そんなになるまでやっているんだ」と思った。それから少しして、運動会で竹馬を演技として披露するという話を聞いた。なるほど、だから一生懸命やっているのかと得心した。

 

運動会が近づいてきて「歩けるようになった?」と聞いたら、娘は「歩けるよ」と自信満々に答えた。わずか数センチの足場でやっと1歩が出た姿からすれば、だいぶできるようになっているのだろう。楽しみにしてその日を迎えた。

 

本番は圧巻のできだった。

 

ひざくらいの高さの足場に軽やかに足を乗せてスッと立ち、一歩一歩しっかりとした足取りで進んでいく。まっすぐに前を見て「歩いて」いく。全部で40歩。竹馬から下りて振り返った彼女の背中は、本当にたくましく見えた。そして、まだ頑張っているお友だちを拍手で応援する姿にも、たしかな成長を感じた。

 

今年の運動会は、娘にとって保育園で最後の運動会だった。それだけに格別の想いがある一方で、未曽有の感染症を前にして、いろいろなことがいつもとは違っていた。入れ替え制のため応援するお友達や家族も少なく、門扉や旗などの装飾もなかった。それでも、子どもたちの一生懸命がそこにあって、しっかりと「運動会」だった。

 

「くじらぐみ、がんばったぞ!オー!!」

 

ダンスも、リレーも、そして竹馬も、一生懸命練習したのだと思う。力強く拳(こぶし)を突き上げる姿は、やりきった満足感をたたえていた。

 

小さな一歩の積み重ねでしか遠くへは行けない

 

野球の世界でレジェンドと言われた選手の言葉だ。

 

竹馬の友と一緒に汗を流した運動会をいい思い出に、また一歩一歩、前を向いて歩いていってほしいと、親としては願うばかりである。

 

■今日のとくとく

娘の運動会を観れたこと

 

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