どうぶつの森

3000文字チャレンジ
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Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)の『あつまれどうぶつの森』に家族でハマっている。

 

『あつまれどうぶつの森』が発売になったのは、2020年3月20日。新型コロナウイルスの全世界的な流行が人類を恐怖におとしいれ、各国が異常事態宣言を発令して都市封鎖(ロックダウン)をおこなう事態にまで発展しているタイミングである。

 

社会生活を営む上で当たり前であった外出の自由が制限され、「Stay Home(ステイ・ホーム」の号令のなか、長期間にわたって家にいることを余儀なくされる現実を前に、人々はこのゲームに飛びついた。

 

5月中には国内400万本が確実視され、全世界売り上げは発売6週で1341万本を記録。Nintendo Switchが発売されて以来、最高のヒットになることはまちがいなさそうな勢いである。

 

それにともないゲーム機本体の品薄も、この文章を書いている5月時点でもまったく解消されておらず、『あつまれどうぶつの森』のコンプリートガイドブックも次の入荷予定は5月末というありさまで、その人気のほどがうかがえる。

 

 

そこまで人々の関心を集める『あつまれどうぶつの森』とは、いったいどんなゲームなのか?

 

 

ざっくりいうと、「島で過ごすゲーム」である。

 

 

プレイヤーは一つの無人島を与えられ、住人となってさまざまなアクティビティをこなしていく。家を建てたり、未開の地を開拓したり、木や花を植えたり、DIYでいろいろなものを作ったり、博物館や商店をつくったりする。マイデザインという機能を使えば、思い通りのデザインのグッズを作ることもできる。

 

また、島の住人を増やすことで、島の生活はどんどん活気を帯びていく。そこに交流が生まれ、あたらしい知見が得られ、できることがふえていく。オンライン通信を使えば、遠くの島との往来もできて、さらに世界は広がる。

 

『あつまれどうぶつの森』の素晴らしい点の一つは、この「見たこともない島がどこかにある」という期待感なのだろうと思っている。

 

いまの世の中、たいていのことはスマホで調べられる。手のひらの上にあるスーパーコンピューターは、知りたいことを検索窓に入力すれば、答えを即座に表示してくれる。それどころか、音声認識の急速な発達で入力すらいらなくなってきている。AIに話しかければ、音声できちんと答えが返ってくるのだ。

 

それはとてもいいことのようで、なんだかさみしいことのような気もする。

 

 

ぼくが中学生の時のことだ。

 

そこそこ勉強ができた僕は授業が退屈になると、教科書ではない冊子を取り出して眺めているのが好きだった。歴史の図説や道徳の本、そして地図帳は最高の暇つぶしの冊子だった。ページをめくるたびに、世界中のどこへでも一瞬で出かけられるような気がして、いつもなんとなく地図帳を机の上に出していた。

 

中学生の男子だから、ちょっと変な地名に興味を持ったりした。

 

たとえば、世界一長い名前の首都はどこか?と調べてみて、スリランカの首都スリジャヤワルダナプラコッテという名前を見つけた。どこかの部族の呪文のような、はたまたパンナコッタの親戚のような、おかしみのある響きを何度もソラで繰りかえし暗記した。

 

中学生の男子だから、淫靡な言葉には反応せざるを得なかった。

 

たとえば、インドネシアのカリマンタン島を見つけて、その響きだけでもうクラクラしていた。マダガスカルの北方にあるコモロの首都モロニには想像力をおおいに刺激された。もろにって何がどのくらいどうなっちゃってんの?もろに出ちゃってんの?そこんとこどうなの?てな具合に、頭の中はお祭り騒ぎ状態になっていた。

 

中学生の男子だから、いちど卑猥な言葉探しに火が付くと、熱いハートはもう止められなかった。血眼(ちまなこ)になって世界中の地名をチェックするようになっていった。

 

世界にはまだまだ知らない場所がたくさんあった。

 

オランダのスケベニンゲン。

インドネシアのキンタマーニ島。

中国のチンポー湖。

などなど

 

ひとつ、またひとつと見つけるたびに湧き上がる喜びはひとしおだった。

 

そして、ある時、ついにたどりついた。

 

 

南太平洋に浮かぶ島。

 

 

エロマンガ島に。

 

 

おぉぉぉぉーーーッ!!!

 

なんだこの名前は?!

 

こんな名前が存在していいのか?!

 

どんなパラダイスなんだーーーッ!!!!!!

 

 

当時はインターネットなんてない時代である。その小さな表記を地図帳に見つけたはいいものの、そこがどんな島で、どんな文化があって、どんなエロマンガ人が住んでいるのかなんてことを調べるのは容易ではなかった。そして、それを頑張って調べるほどの興味や関心を寄せていたわけでもなく、ただただエロマンガ島という島名だけであらぬことを想像していたのだった。

 

 

想像力は、人類に与えられた素晴らしい能力の一つだと思う。

 

 

まだ見ぬ未開の地に思いを馳せ、まったく実像とはかけ離れた島を勝手に想像する。エロマンガ人たちが酒池肉林の饗宴を毎晩のように繰り広げているのではないか。日本人ではないのだから、その営みは想像もつかないようなアクロバティックなものなのではないか。そしてその快楽たるやどれほどのものなのだろうか。

 

ひどい、ひどすぎる。

エロマンガ島の人々にはどれだけ詫びても詫び足りない。

しかし、そのたわいもない遊びのなんと楽しいことか。

 

 

世界は広い。

 

 

エロマンガ島。

 

 

なんてすばらしい名前なのだろう。

 

 

エロマンガ島。

 

 

いつか行ってみたい。

 

 

いや、そうでもない。

 

 

男の浪漫。

 

 

エロマンガ島。

 

 

あれから数十年が経過しても、ぼくの心にその響きは甘い記憶として残っている。

 

 

ぼくらはスマホをつかいこなすことで、あらゆる知にアクセスすることができる。もはや記憶にはたいした意味はない。なぜなら、それは調べればすぐにわかるからだ。遠く離れた場所で起こっていることも、SNSにログインすれば、リアルタイムで知ることができる。そして、それらの事実を前にして、ぼくらはこの世の全てを知った気になっている。

 

 

だが、果たして本当にそうだろうか?

 

 

たとえば、いまだに収束の目途がつかない新型コロナウイルスのことを、ぼくらはまだ何もわかっていない。インフルエンザを制圧できないように、コロナとも長期戦を覚悟する必要があるといわれており、ウィズ・コロナなんて言葉も登場してきている。治療法が見つかり、ワクチンが開発され、ウイルスとの戦いに勝利したとしても、また未知のウイルスは出てくるだろう。そもそもウイルスは変異をするものだから、ウイルスと人類の戦いは終わりなき戦いなのかもしれない。

 

たとえば、海。地球上の7割以上を占め、人間が航海をするようになってから数百年が経っているというのに、じつは海のことは数パーセントしかわかっていないのだそうだ。船や飛行機が忽然と姿を消す海域、謎の建造物、巨大な生物など、海は謎に満ちている。鬼岩城からバトルフィッシュや鉄騎隊が出てきたっておかしくない。

 

たとえば、空。人類は宇宙にまで達した。でも、天気予報が当たらないこともよくある。どれだけ予測しても、予測しきれない気象現象というのは起こっている。わかっていないことは、きっとまだまだある。大きな入道雲を見ると、竜の巣だと思うよね。父さんは嘘つきじゃないんだ。

 

 

そうさ、ぼくらはいまだにラフテルの場所だって知らない。

 

 

テクノロジーがどれだけ進化したって、フロンティアはなくならない。

 

 

だから、世の中を疑おう。

 

好奇心の火を燃やそう。

 

冒険はすぐそばにある。

 

 

漕ぎ出そう。

 

 

と、そんなことを思いながら、ぼくは今夜も自分の島を開発していくのである。

 

まだ見ぬ島を夢に見ながら。

 

 

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